2021/10/15
株式会社TLiP 代表
柴田 季彦 様
にインタビューしました!
東京都文京区で、放課後等デイサービスを経営されています。
今の事業を始めたきっかけは何ですか。
自身の子どもが児童発達支援・放デイに通っていて、福祉にはもともと興味がありました。
いきなり「よし!自分で始めよう」というよりも、
子どもが療育に通う中で福祉業界の【課題】を感じることも多く、
私自身がその課題解決や地域福祉に貢献したい、という思いが強くなり起業を決めました。
福祉業界の【課題】といいますと、具体的にはどんなことでしょうか。
大きく3つあると思います。
1 離職率の高さ
2 地域格差
3 ご家族の仕事と療育サポートとの両立
この3つですね。
確かに、この3つはとてもよくわかります。
この3つを考えた時に、当時フルタイム勤務で働いていた会社を退職し、起業を決めました。
離職率の高さは、事業所サイドだけでなく利用者さんへの影響も大きいです。
実際に自分の子どもに関してもそうでした。
療育を担当してくれる職員の方が何度も変わったことで、本人も家族も大変な時期がありましたね。
当時子どもが通っていた所は療育の質としてはとても良いと感じていましたが、
担当者がどんどん変わってしまうと、せっかく積み上げてきたものがリセットされてしまい、
個別療育という状況もあいまって家族としても困った経験があります。
地域格差の点も確かに気になります。
都内をみても放デイの事業所はたくさんあります。
ただ、実際には事業所がある地域とない地域、山手線の内側か外側かでも全然状況は違いますね。
23区内でも特に文京区では、放デイが極端に少ない現状があります。
どの地域にいても安定的に福祉サポートを受けられる
これは利用者さんやご家族の権利でもあると思っています。
ここに自分自身で貢献したいと考え、地域格差なく療育を受けられるよう意識しながら
事業を運営しています。
仕事と療育サポートの両立という点で、ご自身は実際どうでしたか。
正直なところ、フルタイムで仕事をしながら子どもの療育通所をサポートしていくのは大変でしたね。
実際に妻はフルタイムの仕事を辞め、パートの仕事に切り替えて通所のサポートをしています。
当時通っていた事業所には送迎もありませんでしたし、
仕事をとるか、療育サポートをとるか、そんな状況がありました。
子どもも今では一人で留守番をできるまでに成長しましたが、妻がメインに通所のサポートをしています。
ご家族が仕事をしながら、通いたい事業所にきちんと通える環境を作るというのは
利用児童が大人になってからも共通の課題だと感じています。
会社・事業の運営理念を教えてください。
福祉界ナンバーワンのホワイト企業を目指しています。
これは離職率の高さという課題にもリンクしますが、いわゆる「やりがい搾取」のような状況には
絶対にしたくないと考えています。
利用してくれる子どもたちへのサービスの向上はもちろんですが、
実際に療育を提供するスタッフが幸せでなければ、先ほどのような課題は解決はしていきません。
スタッフの方が長く働きたいと思えるよう、どんな取組みをされていますか。
弊社では、時短勤務を導入しています。
給与をいきなり倍にする、なんてことは難しいですが、制度上必要とされる配置要件を守りながら、
スタッフ自身の子育てなどに支障がないよう時短勤務を導入して働きやすい環境に配慮しています。
送迎もありますが、私自身も配置に入り、なるべく余裕をもったシフトとなるよう取り組んでいます。
事業の特徴や運営する上でどんなことを心掛けていますか。
保護者の方にも必ずお伝えしている事業所のコンセプトとして
「好きを増やす、好きを伸ばす」ということをお伝えしています。
“好き”という感情は、1番の原動力になります。
障害があることで興味の幅が狭まることがないように、
様々なプログラムを通して興味の幅を広げて“好き!”を見つけてほしいと思っています。
具体的にはどんなプログラムを展開されているのですか。
SSTに取り組む週もありますし、週替わりで工作や創作活動なども取り入れています。
また、弊所の特徴としてプログラミング療育も提供しています。
プログラミング療育ですか。
はい。私自身がITやプログラミング業界でエンジニアとして仕事をしていましたので、
その経験を活かし、まずは簡単なプログラミングから取り入れています。
小学校低学年の利用者さんもいらっしゃるので、ずっとパソコンと向き合うというような内容ではなく、
まずは興味をもってもらい、“好き”のきっかけになればと導入しています。
先の将来であったり、社会にでるための基礎訓練を、という考えももっていますが
まずは楽しく、興味をもって取り組めることが一番ですね。
これからの目標や展望があればお聞かせください。
一番近い目標としては、文京区内にあと数か所ほど
放課後等デイサービスを開所したいと考えています。
先ほどもお話ししましたが、文京区には放デイが極端に少ない現状があります。
より多くの地域から通えるよう、またご家族へのサポートという思いもあり
弊所では送迎サービスを行っています。
ただ、それでも送迎可能エリアの限界は出てくるため、多くのニーズに対応できるよう
今後も事業を展開したいと考えています。
保護者の方からのお問い合わせの数としても多いのでしょうか。
はい、今もたくさんのお問い合わせをいただいています。
弊所としても、利用者さんやご家族の切実な思いを感じています。
事業をどんどん大きくしたいというより、そういったニーズに応えられるよう
文京区内や文京区から通える広い範囲でサービスを利用いただける環境を整えたいと思っています。
本年4月に開所しましたが、今後も実績を積み上げて
地域格差をなくし、ご家族の働きやすさにも応えるため取り組んでまいります。
今後繋がっていきたい方がいたら教えてください。
はい、文京区の地域特性として大学が多く存在します。
大学サイドと繋がることで、療育内容に関して研究成果を基にしたプログラムなど
独自のメソッドを実践できるチャンスがあればと考えています。
プログラミング療育を始め、その他の療育手法についても、利用者の皆さまに
より良いアプローチとなるよう、ブラッシュアップしてまいります。
文京区に密着しての取り組みになりますね。
はい、やはり地域に根差した活動というのは大切だと思っています。
自治会や地域の商店とも繋がり、将来は職業体験などもご協力をお願いできればと考えています。
より地域に認知され、地域内で連携できるような事業所を目指します。
ありがとうございました。
今年4月に文京区で放課後等デイサービスを開所され、多くの児童の方が利用されています。
インタビューを通して、福祉の課題に対する思いであったり、保護者の方、
またスタッフの皆さんにも働きやすい環境をと考えていらっしゃる姿勢がとても伝わりました。
柴田様の考えていらっしゃる3つの課題は、本当に福祉業界全体の課題だと思います。
「福祉界ナンバーワンのホワイト企業」を
是非これからも目指していっていただけたらと思います。
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