子どもたちに“働く”を教えること

先日、特別支援学級担当の教諭とお話しする機会があり、
ぜひシェアしたい取り組みがあり、先生の了解を得て書いています。

“働く”とは何か

私がお話を伺った方は、埼玉県内の中学校にて
特別支援学級の担当教員として活動されています。

生徒も一緒に体験活動でご一緒し、普段の活動についてもお話を伺いました。

ご一緒した生徒さんは、軽度の知的障害や情緒障害を抱えたお子さんでしたが、
基本的に自分の身の回りのことはご自身でできるお子さんたちです。

きちんと挨拶もしてくれますし、作業1つ1つも一生懸命にされているのが
とても印象的でした。

まだそのお子さんたちは中学生でしたが、来年4月から成人年齢が18歳になる今
どこの段階かはともかく、近い将来“就職”あるいは“就労”という節目が待っています。

その先生は普段の学校生活の中でも“働くこと”、つまりは
働いて、収入を得て、その収入をもとに生活し余暇活動を楽しむ
そういった近い将来の「働く」を意識して生徒たちと活動しているとのお話でした。

生徒と進めた“働く”を意識する具体的な取り組みとは

では、具体的にはどんな「働く」を意識した取り組みを行っているのか。

ひとつ例をあげると、学校のバザーってありますよね。
そのバザーの中で、支援学級の子どもたちが模擬店をやるとします。

そうした時によくあるのは、工作で作ったものを並べたり、
クッキーなど簡単に作れるお菓子を販売するといった内容が多いかと思います。

もちろんこれが駄目だと言いたいわけではありません。

お子さんたちに“働くこと”をより身近に感じてもらうために、
実際にその先生が生徒たちとおこなったのは

 ➀埼玉県内の農産品を使って、ドレッシングやゼリーなどに加工する
 ➁その商品をバザーで販売する
 ③その販売で得た利益を、経費を除いて生徒それぞれに還元する


といった取り組みでした。

教師のイメージのいろいろ

私はこのお話を伺ったとき、想像の域を出るこの取り組みに
大変驚くとともに、ハッとしました。

先生方からすると、こういった活動は日々の業務とは別に
支援の面でも、手続きの面でも、大なり小なり時間を割いておこなう必要があるわけで、
こういった取り組みが学校で実現することまで想像できていませんでした。

生徒たちのことを本気で考えた時に、
いつかは親元を離れる、いつかは独立していくわけです。

そのタイミングは生徒それぞれかもしれませんが、
自分が働いて収入を得る、その収入を自分の生活や自分の余暇・趣味のために使う
そういったマインドを子どものころから自然ともてる環境にあることは
生徒にとっても、ご家族にとっても非常にプラスだと感じます。

就労と就職

もう一つハッとしたのは、その先生が“就労”という単語を使うのではなく、
“就職”というワードを前提に、障がいの有無に関わらず、
この子たちは仲間をリードしていくチカラをきっと持っているんだと
強くお話しされていたことです。

無意識のうちに将来の“就労”といったワードを使いがちですが、
“働くこと”と広く捉え、子どもたちの可能性を信じてアプローチしていく
そういった姿勢を肌で感じることができました。

地域と協力しながら、このような積極的な取り組みを行われている先生もいらっしゃれば、
あくまで業務の範囲で、と割り切って対応される先生もいらっしゃると思います。

それぞれお考えがあるとは思いますが、この“働く”という感覚を
子どもたちがもっと身近に、自然と感じられるようにという取り組みを伺って
ぜひ共有したい、応援したい気持ちになった次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。